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2006年9月掲載
星 暁生
日立建機(株)事業統括本部
建設システム事業部 
開発設計センター 技師
平成12年大学院修士課程終了 入社7年目
1.機械工学の知識をつける
弊社取扱う建設機械は様々ありますが,私は建設機械の中で一番需要の多い油圧ショベル(図1)の開発設計業務を担当しています。油圧ショベルの開発では,1台の機械を十数人のメンバーで各パートに分かれ設計していきます。製品1つ1つが機械工学の様々な分野を結集した製品になっています。基本は大学で学んだ学問から出来ています。材料・破壊力学,熱・流体力学,音・振動工学,機械要素・材料,電気工学,計算力学等,どの分野の知識を使えばよいか判断し設計することになるため設計者は1台の機械を纏める上で幅広い知識が必要となります。教科書のどの部分に書いてあるかだけでも覚えておくと仕事が進めやすい。様々な問題に対処できるよう日々勉強しています。
2.世界に目を向ける
弊社では製品の海外比率が75%を超えており,国内だけでなく,ヨーロッパ,北米,中国を中心に世界中のユーザーのニーズに応える製品を開発する必要があります。製品開発の第一段階として,ユーザーのニーズ調査があります。弊社では設計者がユーザーとの意見交換,製品が使われる現場を確認するため世界中に調査に行きます。(図2)これらの調査により製品仕様を決めていきます。また,我々が設計した製品は日本だけでなくヨーロッパ,北米,中国,東南アジアの中心地の製造工場でも製造されており,各拠点におけるプレゼンテーションも行う必要があり,英語でコミュニケーションをとれる設計者になる必要があります。
3.VEに基づく設計
VE(バリューエンジニアリング)の概念を重視して製品を設計しています。VEとは徹底した機能本位のモノづくりとしてユーザーが要求する機能を最低のライフサイクルコストで提供するための組織的な手法です。弊社では製品開発の上流で関係部署の代表者が集まり,機能上から考えることで現在ある製品の無駄な部分(ユーザーが必要としていない部分)を徹底的に見つけ出し価値ある製品を開発できるよう努力しています。現在VEについても力を入れて勉強しています。2年前にVEL(VE-Leader)の資格は取得しました。
4.CAEを駆使した開発
近年の製品開発はユーザーからニーズがある製品を出来る限り短期間で開発を行い,マーケットに供給する必要があります。設計段階で出来るだけ問題点をつぶしこむ必要があり有限要素法を中心に様々な分野のCAEも発展してきた。私はここ数年,製品の開発設計業務を行う一方で,弊社のCAEの推進を行うチームにも所属しています。数年前までは静荷重に対する弾塑性解析がやっとでしたが,最近では機構解析で車体の挙動を再現⇒機構解析の振動データから動的応力解析⇒時刻歴応力解析からダメージ算出疲労解析⇒目標値を定めた構造最適化 一連の流れでシミュレーション出来るようになってきています。昨年,機構と応力の練成解析を製品開発に適用した(図3)ことで日本機械学会から技術奨励賞を戴きました。今後の開発期間短縮,品質向上,VE推進のためにCAEは必要不可欠なテクノロジーとなることは間違いなく一層努力していきます。
関連サイト:http://www.hitachi-kenki.co.jp/

図1 油圧ショベル外観


  
図2 油圧ショベル稼動現場


  
図3 油圧ショベルの走行シミュレーションの例

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