科目名 流体工学特論I   2単位   駿河台校舎
機械工学専攻   前期課程   前期   月 3 クラス   
担当者 松本彰 
学習目標
 流体の運動に関係する現象は日常的に非常に多くみられる.例えば,エンジンの燃焼促進,空気抵抗による自動車や飛行機の燃料消費量の増大,汚染物質の拡散現象による環境汚染等があるが,「目に見えない」部分が多く初学者にとっては困難な科目の1つである。これを踏まえて,この講義では非圧縮性粘性流体の運動の物理的解釈に重点をおき,以下の項目の理解を学習達成目標とする.
①連続体として流体をとらえ,その運動を記述できること.
②Navier-Stokes方程式を理解し,具体的な流れ場の速度分布,流量等の諸量を計算できること.
③境界層の概念を理解し,物体に作用する抵抗を求めることができる. 
授業形態
及び
授業方法
板書とプリントを用いた講義形式で行なう. 
受講のための
予備知識
数学(例えば機械工学科では微分積分,線形代数,工業数学入門など)の初歩を修得していること. 
授業計画
1
1.流れの運動学
運動学であつかう変数
運動の記述法 
2
2.流れの運動学
ベクトルとテンソル
歪み速度テンソル
回転テンソル 
3
演習と解説 
4
3.粘性流体の支配方程式
連続の式とNavier-Stokes方程式の誘導 
5
4.渦の力学
渦線と渦管,自然渦と強制渦,ケルビンの循環定理,ヘルムホルツの渦定理 
6
5.Navier-Stokes方程式の厳密解
定常平行流,円筒座標表示によるNavier-Stokes方程式,定常軸対称流 
7
6.Navier-Stokes方程式の厳密解
非定常平行流 
8
7.次元解析
バッキンガムのΠ(パイ)定理
課題レポート1 
9
8.遅い流れ
Creeping 流れ,レイノルズ数相似則 
10
9.遅い流れ
Stokes近似,Oseen近似 
11
10.境界層
境界層とは,渦度の対流と拡散,境界層厚さの定義 
12
11.境界層
平板に沿う境界層の解析解
Blasius方程式とその解 
13
12.境界層
境界層方程式の積分
Karmanの運動量方程式 
14
13.境界層
境界層の剥離 
15
14.層流の安定理論
線形安定理論
課題レポート2 
その他
教科書
使用しない.CSTポータルサイトに講義に関するメモを掲載する. 
参考書
(1)Hermann Schlichting,  Boundary-Layer Theory , McGRAW-HILL BOOK COMPANY , 1979 , 7 edition
(2)日野幹雄  『流体力学』  朝倉書店  1992年  第1版
(1)世界的名著であり流体工学を専攻する学生に一読を進めます.
(2)流体力学の入門書です.粘性流体のみならず,完全流体も含む非常にわかりやすい良書です. 
成績評価基準
2回の課題レポートによって3つの達成目標を評価する.100点満点で60点以上を合格とする. 
質問への対応
オフィスアワーにおいて対応します. 
研究室又は連絡先
松本・関谷研究室:駿河台校舎4号館1階419室
メールアドレス:matumoto@mech.cst.nihon-u.ac.jp 
オフィスアワー
月曜:駿河台校舎 12:10~13:00 4号館1階419室. 担当:松本教授  
学生へのメッセージ
流体力学の基礎的な事項を学部の講義より詳しく説明します. 

科目名 流体工学特論II   2単位   駿河台校舎
機械工学専攻   前期課程   後期   月 3 クラス   
担当者 松本彰 
学習目標
 工学的に興味のある流体現象はほとんどが乱流である.例えば,乱流拡散による燃焼の促進,高速航空機の境界層の乱流化に伴う摩擦抵抗の増大,拡散現象による大気汚染等がある.乱流運動の解釈を困難にしているのは決定論的議論が不可能で統計的な手法を取り入れなければならないことである.これを踏まえて,この講義では非圧縮性乱流を簡単なモデルを使って,物理的解釈が容易になるようにした.以下の項目の理解を学習達成目標とする.
①乱流はランダム過程である.
②乱流は広範囲の異なるスケールを含む.
③乱流は高レイノルズ数で生じる.
④乱流はエネルギーを散逸する.
⑤乱流は3次元の渦変動である.
⑥乱流の強拡散性である. 
授業形態
及び
授業方法
板書とプリントを用いた講義形式で行なう. 
受講のための
予備知識
流体工学特論Ⅰを履修していることが望ましい. 
授業計画
1
1.乱流の性質
1.乱流における統計手法
確率密度関数,モーメント,キュムラント 
2
2.乱流中の運動量輸送
混合長モデル,レイノルズ応力 
3
3.乱流運動の維持のメカニズム
平均流の運動エネルギーから変動運動エネルギーへ 
4
4.エネルギー・カスケード
Kolmogorovのマイクロスケール,局所等方性 
5
5.乱流の渦運動
渦度方程式とレイノルズ応力の関係 
6
6.乱流の渦運動
渦度の強さ,エンストロフィ方程式 
7
7.剪断乱流
壁面乱流,平行平板間の流れ,内層・外層の速度分布 
8
8.剪断乱流
壁面乱流,円管内の乱流,内層・外層のエネルギー収支,実験結果との比較 
9
演習と解説 
10
9.剪断乱流
自由乱流,伴流 
11
10.剪断乱流
自由乱流,自己保存性 
12
11.乱流のスペクトル解析
フーリエ変換とその性質 
13
12.乱流のスペクトル解析
相関テンソルとエネルギー・スペクトル 
14
13.乱流のスペクトル解析
エネルギー・スペクトルでの渦表現 
15
14.乱流のスペクトル解析
普遍平衡領域のエネルギー・スペクトル,エネルギー・スペクトルの伝播方程式
課題レポート 
その他
教科書
使用しない.講義に関するメモをCSTポータルサイトに掲載する. 
参考書
(1)H. Tennekes and J.L. Lumley,  A First Course in Turbulence , The MIT Press , 1989 , 12 edition
(2)J.O. Hinze,  Turbulence , McGRAW-HILL BOOK Company , 1975 , 2 edition
(1)乱流の入門書です.
(2)少し高度ですが,非常に丁寧に書かれた名著です. 
成績評価基準
課題レポートによって学習達成目標を評価する.100点満点で60点以上を合格とする. 
質問への対応
オフィスアワーおよびEメールにて対応します. 
研究室又は連絡先
松本・関谷研究室:駿河台校舎4号館1階419室
メールアドレス:matumoto@mech.cst.nihon-u.ac.jp 
オフィスアワー
月曜:駿河台校舎 12:10~13:00 4号館1階419室. 担当:松本教授  
学生へのメッセージ