弾性テーブルを有する アクティブ除振装置の多制御モード

外部振動を除去しよう!



This paper proposes a design method of a three dimensional active isolation system with a low stiffness isolation table assumed as large-size and lightweight isolation system. Lightweight and large-size isolation tables become flexible. Then, the multi modal vibrations appear on an isolation table in lower frequency region. Therefore, a control system to consider multi modes vibration should be developed. Then, we construct the model of the isolation table using the reduced order physical modeling method which is effective for controlling multi modal vibrations. In controller design, the performance of vibration control is obtained using feedback controller designed by LQ control theory. Moreover, feedforward controller is added in order to obtain the high isolation performance. Thus, two-degree-of-freedom controller is designed. The usefulness of the constructed model and the designed controller is established by numerical simulations and experimental results.



高度先端技術の多くはますます微細化,精密化する方向へと進化している.半導体製造装置のなどのような精密機器は,工場内の他の機器が発生する微振動でさえも,高精度化の妨げとなってしまい,振動対策が必要とされている.このように,精密機器を設置する環境には可能な限り振動外乱の少ない超低振動環境への要求が高まっている.このような背景を受けて,振動対策としてアクティブ除振装置が用いられ,多くの研究が行われている.
今後は,搭載される精密機器の大型化に対応できる大型除振装置の需要が予想される.しかし,従来では除振テーブルは弾性モードを無視するために,テーブルをできる限り高剛性化にさせ,結果的に単位面積あたり重量増にしていた.これをそのまま大型除振テーブルに適用すると莫大な制御エネルギが必要であり,実現は困難である.そのため,大型除振装置を実現するには除振テーブルの軽量化も必要となってくる.このように軽量化された除振装置は,結果的にテーブルが低剛性なテーブルとなってしまい,弾性振動による除振装置の性能劣化が問題となる.
そこで著者らは,弾性モードが現れやすい,薄い平板をテーブルに用いたアクティブ除振装置を製作し,これまで困難視されていた低周波域での弾性モードの制御に加えて,直接外乱に対する制振性能,および地動外乱に対する除振性能の両立を確認した.

しかし,直動外乱に対してはフィードバック制御のみを適用しているので,パルス状の外乱を想定すると振動の収束を速めることができても,初期応答まで低減させることができないという問題があった.そこで,外乱相殺型のフィードフォワード制御を追加することでさらなる制振性能の向上を狙う.また,このフィードフォワード制御は多入力多出力に対応できるように新たな工夫を行った.
さらに,地動外乱に対しては加速度・速度外乱のフィードフォワード制御を新たに追加することで,除振性能の向上を狙うことにした.
本研究では以上のことを,シミュレーション及び実験を通して検証する.


Fig.1 Overview of the isolation system


大型・軽量化除振装置模型の概要
 製作した大型・軽量化アクティブ除振装置の外観をFig.1に,構成図をFig.2に示す.除振テーブルは,600×320×2[mm]のアルミ板を使用しており,弾性振動モードが低周波領域に現れるように低剛性なものを用いている.鉛直方向は4ヶ所にボイスコイルモータと円弧ばね設置し,テーブルを支持している.水平方向には8ヶ所のリニアガイドと4ヶ所の電磁アクチュエータを設置している.各アクチュエータとテーブルとはピアノ線により支持されており,それぞれ独立して3次元的な動きを可能としている.


Fig.2 Constructed diagram of isolation system
除振テーブルの振動特性
 制御対象である除振テーブルの振動特性を知るために,実験モード解析を行い,その振動モード形をFig.3に示す.
 1次モードはバウンシング,2次モードはピッチング,3次モードはローリング,4次モードは1次ねじれ,5次モードは1次曲げに相当し,低剛性テーブルの剛体モードと弾性モードが混合したものである.
本研究では以下の,鉛直5次モードを除振装置の制御対象モードとして取り扱うこととする.


1st mode 9.5[Hz]

2nd mode 12.5[Hz]