 |
動吸振器(どうきゅうしんき)とは,読んで字のごとく「動きを吸収する装置」のことです.私たちの身のまわりにも「動吸振器」の仲間や友達がたくさんいることをみなさんはご存じでしょうか.はじめに,この仲間たちをいくつか紹介してみましょう.
|

|
まずは,私たちが普段,なにげなく開け閉めしているドアの上の方についている装置.名付けて「ドアのバタンって閉まる音を小さくする装置」.これがまさに動吸振器の兄弟です.
この装置の中は注射器のようなつくりをしています.おクスリの代わりにネバネバした液体が入っていて,おクスリを押し出す棒のゴムの部分には小さな穴が何個か開いています.
注射器の先っちょは,ふさがっていて液体が出ないようにしてあります.液体を押す棒を速く押そうとすると,棒はなかなか動こうとはしませんが,力を抜いてゆっくりと押してみると棒が動きだしました.まとめてみると,
|
・速い動き -> なかなか動かない
・遅い動き -> 動きだす |
|
 |
このしくみを応用したのが「ドアのバタンって閉まる音を小さくする装置」なのです.ドアと壁をこの装置でつないであげると,ドアが急に閉まる(速く動く)ときにはなかなか閉まろうとはせず,ドアの動きがゆっくりとなってから閉まるようになります.
ドアがゆっくりと閉まれば,バタンという音もしなくなります.この装置は正確には「フード・ダンパー」と呼ばれ,単に「ダンパー」と呼ばれることもあります.ダンパーとは減衰(げんすい)という意味です.
|

|
つぎは自動車です.ここでも動吸振器の仲間が活躍しています.みなさんが知ってるように,地面といってもアスファルトのような平らな道もあれば,砂利道のような凸凹の道までいろいろあります.
それでは自動車と自転車を例にして考えてみましょう.自転車に乗って凸凹な道を通った場合,地面の凸凹によるタイヤの上下振動がハンドルにそのまま伝わり,そのまま体中に伝わります.
これは自転車のタイヤと車体がそのままつながっているからです.自転車に乗ったことのある人なら,そのときサドルから腰を上げ「肘と膝の曲げ伸ばし」で凸凹の衝撃(振動)をやわらげてあげようとするでしょう.
一方,自動車に乗って凸凹な道を通った場合,地面の凸凹によるタイヤの上下振動がハンドルや体にそのまま伝わることはありません.なぜならば,自動車のタイヤと車体との間には,地面からの凸凹の衝撃(振動)を「肘と膝の曲げ伸ばし」のしくみを利用して振動を吸収している装置があるからです.
|

|