本学科4年生の後藤有也君が,日本マグネシウム協会主催の「第18回学生マグネシウムデザインコンテスト」にて第三席を受賞しました.
おめでとうございます!
作品タイトル:「マグネシウム合金製アップライト」
受賞要旨:
今回出品する作品は第6回全日本学生フォーミュラ大会参戦のために本校で設計製作した足回り部品のひとつアップライトである。これはマシンのハブキャリア(ホイール側)と各アーム(フレーム)をつなぐ足回り部品の中でも極めて重要な役割を担っている。これらはダンパーと地面との間に位置し「バネ下」と呼ばれ運動性能向上に大きな影響を与える。文献によっては「バネ上20kgとバネ下1kgは等価」とも書かれている。このように運動性能に大きな影響を与えるバネ下部品の軽量化は全日本学生フォーミュラ大会参戦にあたり必要不可欠となる。そこで本校ではバネ下重量軽減のためにマグネシウム合金製アップライトを設計製作することとなった。
アップライトは軽量であることのみならず高剛性であることも必要とされる。そのため、最近では7000系や2000系などのアルミニウム合金が使われることが多くなっている。しかし本校では、このマグネシウム合金製アップライトは伝統であり個性であるという考えから更に性能を追求することとなった。マグネシウム合金は延性材料であるため降伏点が不確かであるためその性能を変形量で評価する必要がある。この評価のためにSolid works2007でモデリングを行い、COSMOS works2007で強度解析を行った.ここでは、相当応力説を基にVon Misesの式より計算を行っている。この解析において設計時に許容される変形量の範囲に収めることで効果的な使用を心がけた。今回使用した材質はAZ31である。これは切削加工により製作することから表面の加工硬化を利用するためでる。この形を塊からすべて切削するにはあまりに時間がかかる。そのため予めプレスで近似寸法に加工してからの切削加工とした。こうすることで製作コストは最小限に抑えられた。また、マグネシウム合金の欠点のひとつである耐腐食性についてだが、現在マグネシウム合金に対する表面処理はメッキ処理,化成処理,陽極酸化処理後の塗装が一般的である。そのなかで陽極酸化皮膜に染色することで金属光沢を維持したまま,耐食性・美観を向上させた。
最後に今後の展望として、今回の取り組みを本校特有の技術として発展させ、エンジンのクランクケースやヘッドカバー、クラッシュゾーンなどに応用していく予定である。