研究テーマ詳細
非線形蛇行動の分岐制御
研究の背景
鉄道車両が特定の速度(臨界速度)を超えると、「蛇行動」と呼ばれる自励振動が発生します。この臨界速度は車両の運用速度を制限する要因となるため、走行安定性の評価は設計および開発プロセスにおいて不可欠です。
また、車両システムの動的挙動には、車輪とレールの接触力学などに起因する強い非線形性が関与しています。この非線形性の影響により、線形理論で求められる臨界速度以下であっても、軌道変位などの外乱によって安定性が失われ、永続的な蛇行動(リミットサイクル)に至る「亜臨界ホップ分岐」を示す場合があります。
非線形分岐解析と分岐制御のアプローチ
当研究室では、複雑な鉄道車両モデルにおける蛇行動の分岐挙動を、ビークルダイナミクスの観点から非線形分岐解析を用いて研究しています。高次元のシステム力学モデルに対して、中心多様体定理や標準形の手法を用いることで次元を縮約し、分岐の非線形特性を支配するパラメータを解析的に評価することが可能です。
本研究では、この解析手法を応用し、急激な大振幅の蛇行動を引き起こす「亜臨界ホップ分岐」から、より緩やかな変化である「超臨界ホップ分岐」へと分岐特性を移行させる設計パラメータの調整(分岐制御)を行っています。
- 外乱に対する非線形安定性の向上:
例えば、横方向の支持剛性などのサスペンションパラメータや車輪踏面形状を適切にチューニングすることで、線形的な臨界速度を向上させるだけでなく、不安定なリミットサイクルの領域を変化させ、外乱に対する非線形な安定性をも改善できることが示されています。 - 安全性と乗心地の両立:
分岐特性の制御により、蛇行動を未然に回避し、走行安定性と乗心地を共に向上させるための最適設計手法の構築を検討しています。
研究室保有の軌条輪装置を用いた蛇行動の実験の様子
